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東京高等裁判所 昭和56年(ラ)351号 決定 1981年8月25日

抗告人 平山雅浩

右訴訟代理人弁護士 宮本孝平

相手方 富士ファクタリング株式会社

右代表者代表取締役 兼本邦興

主文

原決定を取消す。

相手方の移送の申立を却下する。

理由

抗告の趣旨及び理由は別紙のとおりである。

本案・売掛代金請求事件は、相手方(原告)が抗告人(被告)に対し昭和五四年六月二六日付富士クレジット購入契約書をもってしたダイドー自動販売機の代金及びこれに対する遅延損害金の支払を求めるものである。

右契約書には、相手方の所在地を管轄する簡易裁判所・地方裁判所に対する訴の提起に異議がない旨の記載があるほか、代金は中部相互銀行佐鳴台支店の抗告人口座から引落されるべき旨の記載及び取扱店として静岡県榛原郡吉田町所在のダイドー株式会社の営業所との記載も存するところ、右契約書の成立は抗告人の否認するところで、証人池谷淳一、同平山元康及び抗告人もこれに副う供述をしており、その成否についてはなお審理を待つべきところである。

右に述べたほか、本案訴訟を東京地方裁判所において審判すべき事情は窺われない。

してみると、本案訴訟を右契約書記載の合意管轄裁判所と相手方が主張する東京地方裁判所に移送するよりは、右契約書記載の取扱店、現実の代金支払義務履行地及び抗告人の住所地を管轄する原裁判所において審判するのが相当であるというべきである。

よって、原決定は相当でないのでこれを取消し、相手方の申立を却下することとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 倉田卓次 裁判官 井田友吉 高山晨)

<以下省略>

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